時間

俺には時間が無い。俺は時間を浪費している。音楽は時間芸術。音楽は走る列車のようなもので、演奏を聞いてあの時より早いとか遅いとか言っている人間は論外、音楽という列車に乗れていないのであると友人(空気)に喋りながら今日やってきたのは京橋。某バンドのライブコンサートへと足を運ぶ。

千葉の実家からやってきた母親と合流し、17時過ぎに居酒屋で早めの夕食。ビールやらハイボールを頼んで飲ませてもらったがなんとなく酔えない。親の前で酔うのはなんだか気まずいということもあるのだろう。なんだか隣の席のマダム達が盛り上がっている。どうやら私たちと同じライブに行くようである。肩をすくめる母親。小声で

「ライブに行く直前のおばさん達が集まるとあんな感じなのね。私も気をつけなくちゃ。」

そんなこと思ってたんや…。時間は過ぎ開場時刻、西日に照らされてただでさえテラテラとしている中年ファンの顔ははっきり言って異様である。対して高校生くらいの少年達、おそらくシーシャバーに通い詰めているバンドサークル3回生の女性とインターネットにアップロードしたコピバンの動画がバズって謎のおばさんにネットストーカーされてるソラニンの種田みたいな見た目の大学4回生の男性のカップルなど様々な層が観にきている。

会場に入ると会場の外以上に老若男女がきているのだのということを確認できる。まあテレビにもよく出演している超人気バンドなので当然と言えば当然なのだが。開演を前に浮き足立つ彼らを視界の隅に入れながら私は椅子にふんぞり帰ってイキリ散らかしていた。

開演。あれだけイキっていた私の心拍数が順当に上昇していることがわかる。そこからはあっという間であった。私の言葉で説明すればするほど衝撃は陳腐化するばかりなので感想は簡潔に「すごかった」とだけ。

帰り、風を浴びながら俺は何をやっているんだろうと考える。自分は特別だと思いながらなんら結果を出せず、タイムリミットが近付いていながら結果を出せず、結果を出せず、音源審査に落ちまくり、ライブの集客はできず、そもそもライブにも日程が合わずに出れず、歌も上達せず…。ぅう、しんどい。どうにかしなくちゃいけないのにどうにかするやる気も出てこない。

私は走った。どこまでも、どこまでも。スピードは思考を置き去りにすることなんてできないなら、思考できなくなればいいのだ。スニーカーが軋み、ひび割れる。汗が吹き出し、リュックを背負った背中は恥ずかしいくらいの汗染みができていることだろう。それでも走るのだ。羽が生えるまで。どこまでも行こうぜ。

Thank for Hiroshi Tamaki...

ー俺たちの夏が始まる ー