8月生まれ、獅子座、俺はずっと夏が好きだった。最近まで好きだと思ってた。イベントも沢山ある。夏休みは友達と遊べる。どこか遠くへ旅行に行ける。誕生日もあるし。ここ最近は昔よりも感情の昂りがない。それはきっとここ数年のとんでもない猛暑だったり、友達がいなくてどこにもいかなかったり、誕生日を誰にも祝ってもらえなかったりのせいもあるだろうが、夏になるとなんだか上手くいかない。

今年は謎の病気になって全身に発疹ができて手足が腫れた。

去年は肝炎になってずっと死んでた。思えば今年のそれより全然大変だった。コロナが流行ってたこともあり内科を受診するにも時間がかかった。結局1週間立ってから肝炎だったことがわかった。体がだるくて咳は出るし、食欲もない、途中から喉もめちゃくちゃ痛くなる。そしてちんちんがいかなる状況においても全く勃たなくなってすごい焦った。

肝炎になって2週間くらいたって少しだけ食欲が出たから回転寿司に行こうとチャリを漕いでたら、すれ違ったおじさんがアルミホイルに包まれたおにぎりを食べてた。ふと中学生の頃、母親が同じようなものを作って持たせてくれたことを思い出した。
サッカー部だった俺は家をべらぼうに早く出ることがたまにあって、母親もそれに合わせて起きて俺に朝食をとらせて弁当やおにぎりを持たせてくれていた。俺の学校は育ちの良い都会っ子が多くて、友達が話す家族とか地元の話を聴いて千葉から電車で通ってた自分はなんとなく劣等感というか自分ってダセーなっていうことを思ってて、それを自分の持ち物だったり、持たせてくれた弁当にまで感じたりしてた。ある時友達が持ってきてたおにぎりを食べさせてもらったことがあった。初めて食べる他の家のおにぎりがその時の俺にはとても美味しく感じて、家に帰ってから母親に「あいつの家のおにぎりうまかったわ」「もっと塩味を薄くしてほしい」と言った。「一応あんたが沢山運動すること考えて塩多くしてるんだけどね…」と母親に言われた。
思い出して最悪な気持ちになった。そして急に自分が死ぬこと、両親が死ぬこと、友達とか今まであってきた好きな人が死んで会えなくなることを想像してしまった。母親に嫌なことしたな。母親以外にも沢山嫌なことしてきたな。あー、今あいつは何してんだろ、病気とか嫌なこととか無いといいな。とか思ってたら涙が溢れてきて御池通で嗚咽してしまって道にうずくまってしまった。道行くおばさんとかもめちゃくちゃ心配させてしまって、隣に彼女がいたからまだ大ごとにならずに済んだからよかったけどそりゃ道端にめっちゃ泣いている人いたらびっくりするよね。多分体調がずっと悪くて心もおかしくなってたんだと思う。

そこからしばらく死ぬことについて考えてた。死にたくないな。死んだらどうなるんだろう。前世の記憶なんてないし、一生で起こったことはきっと全部忘れてしまうんだろうな。前世とかなんてないんだろうな。ただビデオがプツンと終わってずっと真っ暗闇。誰かが「人は死ぬときの感情や感覚が永続する。つまりずっと『死の恐怖や痛み』という地獄が続く」みたいなことを言ってた気がする。ビデオテープの最後の0.1秒がループし続けて最後は電池切れで徐々に真っ暗になっていって全部が終わる、死ぬのはそんな感じだろうか(だから俺はディレイとかグリッチの音を聞くと死ぬ瞬間とか死を連想する)。死ぬのが怖いな。親は後どれくらい生きるだろう。長くて30年くらい?今は思考を放棄してるけどいつか向き合わなければならない。そういえば前に行ったバーの店主が亡くなったらしい。20年ちょっとしか生きてないけど気づいたら周りの人だったり知ってる人が死んでいってる。ああ、死ぬのが怖いな。

気づいたら死んでるから、伝えないと、後悔しないように、とか言われると「うるせーよ」と思うけど、でも本当。

こんなこと考えてしまうのは多分最近の夏が、京都が暑すぎるから。体調がおかしくなってしまうくらい。最近夏があまり好きじゃない。

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