マジで最高の夜だった!

「いやーマジで最高の夜でした!また一緒にやろう!」
的な文言をバンドをやってるとTwitterなんかではよく見かける。あまりバンドに関わりがない人々は分からないかもしれませんが別にそいつが有名なバンドマンじゃなくとも、そいつがマイヘアじゃなくてもテンフィートじゃなくてもそんな文言をその日の盛り上がってる風な写真と共にSNSにあげるんすわ。
別にそれは全然いいと思うのですが。そら私だってぼちぼちライブをやる中で「今回は本当に良いイベントだったなー」と思う時はありますし。ただその心は本当なんだろうけどそれを言うことの意義みたいのを考えるとなんかモヤッとする。俺が今までバンドをやっている人と関わってきた中で感じたのは彼彼女らってバンドを100%楽しいでやってることはほとんど無くて、バンドで良い演奏ができたり良い作品ができたりっていうその瞬間は喜びを感じれるけど、例えばご飯を食べてたり、学校に行ったり、仕事をしたりっていう人生の時間のほとんどはバンドが「呪い」「足枷」になっていて、もうずっと不安で、やめたくはないんだけど、ふとやめてもいいなと思ってしまうというような。売れてない人は売れてる人に劣等感だし、売れてる人はさらに売れてる人に劣等感だし、彼女と結婚なんてできなさそうだし、同級生はいいところに就職して幸せそうだし、日本経済は終わってるし、そんな中でいつまでこんな生活ができるのだろう、両親もいつか死ぬ、もう10年くらいしたら介護しなくちゃいけないかもしれない、バンドなんてしてたら孝行なんてできない気がする…。多分そんなずっと不安な人らだから意識的に「最高だった!」って言ってるのではないか?それはアピールであり、自己暗示でもあり。

ある日俺の前をバンドマン達が歩いていた。
「まああいつら売れてるけどぶっちゃけ大した実力ないしな!」「でもあいつらがいなかったら自主企画赤字だったな」「あいつらは全然俺らより大きいとこ出てるけどそれだけだろ。今日みたいな小箱の最高な夜をあいつら知らねえんだから」
俺は「その『最高な夜』って明らかに虚勢じゃんね…」って事情はよく分からないけど思った。それまでに度々目にしてきた「最高の夜だった!」ツイートの投稿者を思い浮かべたりした。
心なんて一生不安さ
オーイェーってかんじ